「子ども手当」制度が本当に効果があったのかを検証するために東北大学が行った調査によると、多くの世帯で実質的に子育て支援、充実につながったとは受けとめられていないことが分かった。
「子ども手当」制度は本当に効果があったのか(東北大学)
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20120330.pdf(PDF)
同大学大学院経済学研究科の吉田浩教授は、「子ども手当」制度が実施に子育てに及ぼした最終的な影響を検証するために、受給の対象となった中学生以下の子どものいた全国の世帯にアンケート調査を実施。その結果、以下のような結果が得られた。
1.子ども手当の使用については、46%の世帯が「ほぼ全額貯蓄」、逆に33%の世帯が「ほぼ全額支出」と大きく分かれた。具体的に使い道は、「子どもの将来のための貯蓄」(32.4%)が最も多く、以下「子どもの教育費」(20.4%)、「子どもの生活費」(13.0%)の順で、おおむね給付金は「子どものため」に充当されていたことが分かった。
2.ただし、子どものための支出金額は、ほぼ半分(52.1%)の世帯で「子ども手当の支給前と実質的にあまり変わらない」と回答しており、世帯全体の経済状況も「子ども手当の支給前と実質的にあまり変わらない」(64.6%)となった。特に子どもの生育環境については、73.4%の世帯が「子ども手当の前と実質的にあまり変わらない」と回答していて、子ども手当が実質的に子育て支援、充実につながったとは実感して受けとめられていないことが分かった。
3.今後の政府に望むことについては、まず子ども手当の制度について、2割が子ども手当の現状支給継続、5割が満額支給の要求だった。しかし、2割は児童手当に戻っても構わないという回答だった。また、政策面では、子ども手当等の直接的・一般的な金額給付以外にも「扶養控除や(子どもの)医療費控除などの税制上の支援策の充実」や「女性が仕事と子育てを両立できるようなシステム(雇用制度、休業補償)の整備」「子育て施設の充実」など、個別的・環境整備的な側面を求めることが多くみられた。
「子ども手当」制度は本当に効果があったのか(東北大学)
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20120330.pdf(PDF)
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